SAUNA COLUMN

第2回 サウナの痛快エンターテイメント「アウフグース」

サウナの中は、上と下で、温度差がある

熱気は、下から上へと上がって行きます。このため、サウナの室内においても、床面より天井面の方がより高温になっています。室内の温度を均一化するためには、例えば、扇風機のような物を天井面に付けて上部の空気を下へ降ろす必要があります。しかしサウナの場合、室温が高すぎるために、風を起こすモーターが熱ですぐ壊れてしまうのです。そこで弊社では、木製の羽を3本組み合わせて木製の歯車を付け、その歯車にロープを巻きつけて手動で羽を回転させようと考え、実際にある施設で試したことがあります。ところが、熱の影響で木の歯車が収縮したり膨張したりして上手くかみ合わず、失敗に終わってしまいました。サウナ室内の温度差を、いかにして緩和するか。ドイツのサウナで行われている「アウフグース」が、この問題を痛快に解決しています。

サウナの温度と空気を和ませる「アウフグース」

前回ご紹介したフィンランドサウナの「ロウリュ」は、サウナストーンに水を掛けて熱の波を楽しむというものでした。これに対してドイツの「アウフグース」は、サウナストーンに香料が入った水を掛け、室内に香ばしい香りを漂わせます。その後「アウフグース」担当のエンターテイナーが、片手に持ったタオルを頭の上で回転させます。こうすることによって、室内の上部に溜まっていた熱い空気が、下へ下へと降りて来るのです。そして、サウナの中で座っているお客さん達はハッキリと熱の波を感じることができます。さらにエンターテイナーは、タオルの両端を両手で広げ、お客さんひとりひとりに熱風を浴びせていくのです。この熱風がサウナ好きにはやめられない。またエンターテイナーは、ただ黙々とその動作をするのではなく、漫才師のようにお客さんを笑わせて楽しませるのです。

日本にも、「アウフグース」の楽しい健康法

まさしく“サウナのエンターテイメント”と言える「アウフグース」。ドイツでは、この「アウフグース」が始まる時間になると、サウナ室が満員になってしまうほどです。最近、日本の温浴施設でも「アウフグース」を取り入れているところがあり、今後はドイツに見るようなエンターテイナーが育ってほしいと願います。健康維持のために入るサウナで、汗を流しながら笑いを楽しむ。こんな健康法が他にあるでしょうか。皆さんも機会がありましたら、本場ドイツの「アウフグース」をぜひ体験してみてください。ただし、ドイツ語が判らないと笑えませんので、あしからず。